色彩の扉

カラーユニバーサルデザインとは?

現代社会では、公共施設の案内表示・工業製品・情報機器・印刷物・報道・教科書など、ほとんどのものがカラーで表現されています。しかし、色の見え方には個人差があるため、人によっては一部の色の組み合わせが区別しにくく、不便さを感じるケースもあります。こうした背景から、多くの人が等しく情報を認識できる配色を用いたデザインが社会的に求められており、鉄道の路線案内図や災害時の気象情報の表示をはじめ、公共性が高く安全性に関わる分野を中心に見分けやすい配色やデザイン上の改善がなされています。このような、色覚の多様性に対応して、より多くの人に利用しやすい製品や環境、サービス、情報を提供するという考え方を「カラーユニバーサルデザイン」と呼びます。


カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ver.4.2

DICグループは、2007年より伊藤啓氏(東京大学客員教授/ドイツ・ケルン大学教授)の監修のもと、一般社団法人日本塗料工業会、石川県工業試験場、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構らと共に制作委員会を設け、印刷・塗装・画面表示の各分野を横断した協力体制のもと、カラーユニバーサルデザインの考えに基づき情報を色分けして伝えるときに用いる「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」の研究・開発・普及活動に取り組んでいます。

本配色セットは、文字やサインなど、比較的小さな面積でも見分けやすい、高彩度のアクセントカラー9色、案内図や地図の塗り分けなど、広い面積に用いる高明度・低彩度のベースカラー7色、これらの色と誤認しにくい無彩色4色の合計20色(塗装用のみ代替色2色を含む22色)のカラーパレットです。塗装用はマンセル値、印刷用はCMYK値、画面用はRGB値の各色彩値を設定しています。

2009年より媒体ごとの色再現特性を考慮して色合いを調整した塗装用のver.1を皮切りに、印刷用を追加したver.2、画面用を追加したver.3を順次発表。路線図、公共施設のサイン、教科書、デジタルサイネージなどの色表示に幅広く用いられてきた実績を踏まえ、一部の色合いを再調整したver.4を2018年に発表しました。2025年1月には、JPMA塗料用標準色をP版に変更したver.4.2へと改定しました。

カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット

※上記の色は実際の色とは異なります。


カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック(第3版)

利用者が本配色セットを効果的に活用できるよう塗装用・印刷用・画面用の色彩値や使用方法などの情報をまとめたガイドブックは、2013年の刊行以来、多くの業界で活用されてきました。今回刊行した第3版では、「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ver.4.2」を収録するとともに、DICグループ内で使用しているパワーポイントテンプレートの配色やごみ箱の分別サインなどの新たな使用事例を追加しました。本ガイドブックは無償で配布しており、DICグラフィックスや各団体のウェブサイトからPDFファイルを無料でダウンロードできます。

カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック(第3版)

カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック(第3版)

PDFのダウンロード(15.8MB)

制作・発行:カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット制作委員会